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業界の動き・提言

2009年3月

急速に悪化する経営環境とSC

急速に悪化する経済環境

1. 日本経済の収縮

米国の金融不安に端を発した米国の経済危機は、またたく間に全世界に同時不況として波及することとなった。当初、日本経済への影響は軽微と見られていたが、急速な円高の進行と、米国を中心とする国際的需要収縮が日本の輸出産業に大きな打撃となり、日本の基幹となる産業分野で急激な生産調整や在庫調整を余儀なくされたことから,急速に日本経済は悪化し、2008年第3四半期のGDPは3.2%のマイナス成長(年率ベースで12.1%)に陥り、一転、戦後最大の経済的危機に突入することとなった。2008年末からは、期間社員を中心とするリストラの進行が雇用不安として社会的問題となり、消費需要の急激な落ち込みを招き、流通・サービス産業に対して大きな影響を与えている。

2008年年間では7年ぶりに2%を上回るマイナス成長となり、2009年度についてもIMFの推計によると5.4 %のマイナス成長と下方修正されマイナス幅を拡大させており、厳しい経済環境が継続することが予想される。

GDPの細目を見ると、第3四半期は貿易部門と設備投資部門が大幅にマイナスとなったが、個人消費は0.4%のマイナスに留まっている。ただし、製造業を中心とする急速な生産調整に始まって、全産業に景気悪化の影響は波及しており、個人消費への影響は今後一層強まることが予想され、第四4半期及び2009年度の個人消費のマイナス幅は拡大する恐れがある。また、産業界全般にわたる不況の影響は企業需要の低下をもたらすと言う悪循環に陥り、総需要の収縮、特に小売・サービス分野における需要の収縮は不可避といえる。

2. 大幅マイナスを続ける大規模小売業界

日本の小売売上高は1997年をピークとして、縮小傾向にある。2007年の商業統計によると、2007年の小売売上高は134兆円となり、前回調査に比較すると若干回復したものの、97年と比較すると約13兆円、8.8%のマイナスになる。これは、海外からの輸入品の増加など低価格化によるデフレ要素の影響もあるが、97年度の消費税の2%引き上げや減税の見直しなど生活者への負担の増加が小売売上高の減少に繋がったものと推計される。

さらには高齢社会の進行や人口減少時代の到来に加えて、政治不信の継続、企業犯罪の続発などが加わって、日本社会を覆う閉塞感が消費活動全般に影響したものと推計される。

大規模小売業の業績の推移を見ると、百貨店や総合スーパー等の総合業態は不振の継続に喘いできたが、激しい景気の下降局面に遭遇して、業績の悪化を加速している。

百貨店は、2008年10月より6.8%のマイナスとマイナス幅を拡大すると、12月には9.4%の大幅マイナスに落ち込むなど、年間ベースで4.3%のマイナス、2009年1月についても9.1%、2月には前年の閏年の関係で営業日数が1日減少したこともあって11.4 %の大幅マイナスを続けている。2008年(暦年)年間の売上高は7兆4千億円に低下し、CVSの売上高7兆9千億円に逆転を許すこととなり、業態的凋落に歯止めが掛かっていない。

一方、チェーンストア協会の売上高から,総合スーパーや食品スーパーの動向を見ると、総売上高および既存店売上高のマイナスは継続するものの、従来総売上高の下方圧力となっていた既存店の売上高が、2008年(暦年)ベースでは前年同期比99.3%と、マイナス幅を縮小している。協会会員の変化によって爬行性はあるものの、消費不況の継続の中で価格訴求業態として消費者の支持が回復したことや業績不振店舗の処理の進捗による成果が推計される。食品スーパーを中心として売上高が回復している企業も少なくなく、景気の先行き不安から外食や中食を抑制し内食に切り替えることにより、不況時に強い食品小売業を裏付けるデータと言える。2009年1月はマイナス2.7%、2月は百貨店と同様の要因により5.4%のマイナスとなった。

3. 好調を持続してきたSC業界の変調

SC業界の推移を見ると2008年(暦年)売上高を見ると、総売上高では0.3%の増加、既存SCベースでは1.5%のマイナス成長となり、総売上高の伸び率の鈍化とともに既存SCベースの売上高の低迷が現れている。特に、既存店ベースの売上高は前年のゼロマイナスからはっきりとマイナス基調に転じることとなった。月次ベースで見ると9月以降はマイナスに落ち込み12月には5.4%、2009年1月は4.4%、2月は閏年の関係から7.5%と大幅マイナスとなっている。消費不況の影響がSC業界にもはっきりと現れてきている。

SC業界の変調は、米国の金融危機発生以前の4月頃より兆候が表われていた。好調を維持してきた衣料品中心とした専門店テナントの売上高が伸び悩み、マイナス成長となった。7月、8月と持ち直したものの、9月以降低迷し、12月には4.7%の急落となった。1月のSC売上高も3.6%マイナス、2月は6.5%の大幅マイナスと12月以降マイナス幅が拡大している。核テナントも、食品スーパー業態の業績回復などにより8月ころまでマイナス幅を縮小させていたが、12月以降、大幅に売上高が減少しており、現在のところSC全体の売上高低迷から脱する兆しは見えない。消費需要の縮小は今後さらに深刻化する恐れがあり、SC業界全体として消費需要創出のためのイノベーション継続と積極的な提案が求められている。

4. SCの同質化と飽和化

SC業界は規制緩和の進んだ1990年代に、年間100ヶ所を上回るSCの開発を行い、10年間で合計997ヶ所のSCを開発、2000年には大店立地法への移行前の駆け込み出店とも言える149SCを加えると、11年間で1,136ヶ所に及ぶ大量のSC開発を行った。大店立地法の施行に伴い一時SC開発を控えていたが、2003年頃よりSCの規模拡大化が進み、郊外立地を中心として完成度の高いSCが増加し、さらに都心回帰現象の効果もあって、都心部に複合的大規模開発が増加し、その中核的機能としてSCが導入されるなど多様なタイプのSC開発が進行した。この結果、SCの年間開発数では90年代に及ばないものの、SCの規模やテナント数の増加とバラエティや熟度の面で質の高いSCが増加した。SC面積については、90年代に年間ベースで1SCあたり平均1万5,000m2前後の規模で開発されていたが、90年代後半から2万m2前後に拡大し、そして2003年から一気に1SC平均で2万8,000m2の規模に達している。そして、2008年には「イオンレイクタウン」や「阪急西宮ガーデンズ」などの巨大SCが開発されたことから、1SC平均で32,014m2の規模となった。2008年は例外としても、SCの大規模化は確実に進行した。都市計画法の改正に伴い、延床面積1万平米を超える大規模集客施設に対する立地規制が導入されたことから、今後、大規模な開発が抑制されることによりSCの規模縮小及び開発数の減少は確実となろう。

SCは核テナントの継続的不振のもとで、ファッション専門店を中心として多様なテナントを導入することで規模を拡大してきた。モノからコトヘの消費ニーズの変化に対応する形で、飲食・サービスやエンターテイメント性の高いテナントを導入することで集客力を高めてきた。大規模SCの増加に伴い、1SC当りのテナント数が大幅に増加しさらにテナントの大型化が進行した。

需要創出の必要性
国も企業も個人もともに
需要創出の努力が必要である

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